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企業団のあゆみ

沿革

背景

 当企業団を構成する夷隅地域・安房地域は、房総半島の最南端に位置し、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、観光資源は豊富です。
 しかし、当地域は、地理的要因から大きな河川もなく、ダムも小規模なため、 観光資源を活かしたリゾート開発と生活様式の変化等から生ずる新たな水需要に対応できるほどの安定した水源がなく、恒常的に渇水の不安があり、 また、貯水・取水・浄水等の諸施設を個々に建設することは、投資効率が悪く、多額の費用を負担することとなるため、各々の水道事業体で問題解決できる状況にありませんでした。

設立

 このような状況から、新たな水需要に対応する水源を房総導水路に求め、 長期的に安定した水源を確保するとともに、施設の合理的な建設及び維持管理を行い、事業経営の経済性を発揮し、水道の整備普及を図り、もって環境衛生の向上、住民福祉の増進に寄与することを目的に、 水道用水供給事業を行う広域水道として、平成2年8月に南房総広域水道企業団が設立され、 平成3年3月には厚生大臣(当時)から事業認可を受けて、平成3年度から建設工事に着手しました。

※水源について
 当初は房総導水路から大多喜ダムに貯留した水を水源とする構想でしたが、大多喜ダムの建設期間が長期に亘り、その期間中の社会経済情勢の変化による水需要の伸び悩みを受け、 平成19年度に実施した水道水源開発等施設整備事業の再評価の結果、将来的にも水需要が増加する要因がないことから、当企業団では大多喜ダム建設事業への参画を中止しました。
 なお、ダム整備の主体であった千葉県においても、平成23年3月に大多喜ダム建設事業の中止が正式に決定されたため、その決定を受け、当企業団の創設事業も完了としました。

用水供給

 給水については、当初の計画どおり平成8年度には一部通水を開始し、平成12年度からは、夷隅地域・安房地域の全市町等(現在は4市3町1水道企業団)に給水を行っています。
 通水開始から20年以上が経過し、リゾート開発等の新たな水需要は生じていませんが、通常の水需要に加え、観光シーズンの水需要の増大化への対応や、 地域内のダム貯水率が低下した際の安全弁としての対応は、有効に機能出来ていると考えています。

経営

 構成市町にご理解いただき実施した平成17年度の給水料金の改定以後、経常損益は黒字基調で推移し、平成27年度決算をもって累積欠損金を解消しました。
 しかし、創設事業費が高額であったことから、減価償却費も高額であり、高コスト体質であること、 また、通水開始から20年以上が経過して修繕費が増加傾向にあり、維持管理費が増加していることなどの問題を抱えています。

取り組み

 高コスト体質の経営であっても、安心・安全な水を確実にお届けするための取り組みに待ったはかけられません。 当企業団では、水管橋の耐震化事業を平成27年度までに実施したほか、停電時にも送水ポンプを動かせるよう自家発電設備を平成28年度から平成29年度にかけて設置するなどの施策に取り組みました。
 これからも、用水供給を途切れさせないための各種施策に取り組んで参ります。

用 語 説 明

出典:水道用語辞典(発行 公益社団法人日本水道協会)
水道用水供給事業(すいどうようすいきょうきゅうじぎょう)water wholesale, bulk water supply
 水道事業が一般の需要者に水を供給する事業であるのに対して、水道により、水道事業者にその用水を供給する事業をいう。 ただし、水道事業者または専用水道の設置者が他の水道事業者に分水する場合を除く(水道法第3条第4項)。 すなわち、水道用水供給事業は水道水の卸売業である。水道用水供給事業は、広域水道の一形態であり、全国で数多く設けられ、府県営と企業団営とがある。
広域水道(こういきすいどう)water system for wide area supply
 市町村の行政区域を越えた広域的見地から経営される水道をいう。 市町村単位で水道事業を経営するよりは、水道を地域的に広域化することにより、水資源の広域的利用や重複投資を排した施設の合理的利用による給水の安定化と財政基盤の強化が図られるとの考え方に基づくものである。広域水道の形態には、事業別では水道事業と水道用水供給事業とがあり、事業主体別では都府県営と一部事務組合営(企業団営)とがある。
減価償却費(げんかしょうきゃくひ)depreciation cost
 固定資産の減価を費用として、その利用各年度に合理的かつ計画的に負担させる会計上の処理または手続きを減価償却といい、この処理または手続きによって、特定の年度の費用とされた固定資産の減価額を減価償却費という。減価償却費の経理は、減価償却の目的をどう見るかによって変わってくるが、一般的には、固定資産の価値減耗についての費用を種々の方法により各年度に適正に配分し、その損益に対応させて正しい損益計算を可能にするものであるということができる。

年表

平成 2年  8月 1日 企業団設立許可
平成 3年  3月14日 水道用水供給事業認可(厚生大臣)
 8月 創設事業開始
平成 4年  1月 大多喜浄水場造成工事開始
平成 5年  4月 大多喜浄水場建設工事着手
平成 7年  3月 大多喜浄水場完成
平成 8年  8月10日 試験通水開始
10月 1日 一部の団体に給水開始
 館山市、勝浦市、鴨川市、夷隅町、大原町、
 岬町、富山町、鋸南町、天津小湊町、
 三芳水道企業団(館山市の一部·富浦町·三芳村)、
 朝夷水道企業団(千倉町·丸山町·和田町)
平成 9年  4月 1日 給水料金改定(第1次)
 9月24日 御宿町給水開始
平成10年  4月 1日 給水団体の統合
(旧館山市水道事業が三芳水道企業団へ統合)
平成11年  7月 1日 白浜町給水開始
平成12年  4月 1日 大多喜町給水開始(全団体への給水開始)
給水料金改定(第2次)
平成17年  2月11日 構成市町村の合併
(旧鴨川市と旧天津小湊町の合併により鴨川市となる)
 4月 1日 給水料金改定(第3次)
12月 5日 構成市町村の合併
(旧夷隅町、旧大原町、旧岬町の合併によりいすみ市となる)
平成18年  3月20日 構成市町村の合併
(旧富浦町、旧富山町、旧三芳村、旧白浜町、旧千倉町、
 旧丸山町、旧和田町の合併により南房総市となる)
給水団体の統合
(旧朝夷水道企業団が南房総市水道事業へ統合)
平成19年  5月22日 大多喜ダム建設事業への参画を中止
平成23年  3月 4日 千葉県が大多喜ダム建設の中止を決定
平成23年  3月31日 創設事業完了
平成24年  3月19日 水道用水供給事業認可の変更
 大多喜ダム中止に伴い、取水地点等を変更
 1日最大給水量 55,060m3→42,330m3
 4月 1日 給水料金改定(第4次)
平成26年  4月 1日 給水料金改定(第5次)
平成28年  3月18日 水管橋耐震化事業完了
平成28年  3月31日 平成27年度決算にて累積欠損金を解消
平成29年  4月30日 非常用自家発電設備完成
令和元年 10月 1日 給水料金改定(第6次)

年表

平成 2年 8月 1日 企業団設立許可
平成 3年 3月14日 水道用水供給事業認可(厚生大臣)
     8月 創設事業開始
平成 4年 1月 大多喜浄水場造成工事開始
平成 5年 4月 大多喜浄水場建設工事着手
平成 7年 3月 大多喜浄水場完成
平成 8年 8月10日 試験通水開始
    10月 1日 一部団体に給水開始
 館山市、勝浦市、鴨川市、
 夷隅町、大原町、岬町、
 富山町、鋸南町、天津小湊町、
 三芳水道企業団
 (館山市の一部·富浦町·三芳村)、
 朝夷水道企業団
 (千倉町·丸山町·和田町)
平成 9年 4月 1日 給水料金改定(第1次)
     9月24日 御宿町給水開始
平成10年 4月 1日 給水団体の統合
 旧館山市水道事業が
 三芳水道企業団へ統合
平成11年 7月 1日 白浜町給水開始
平成12年 4月 1日 大多喜町給水開始
 全団体への給水開始
給水料金改定(第2次)
平成17年 2月11日 構成市町村の合併
 旧鴨川市と旧天津小湊町の
 合併により鴨川市となる
     4月 1日 給水料金改定(第3次)
    12月 5日 構成市町村の合併
 旧夷隅町、旧大原町、旧岬町の
 合併によりいすみ市となる
平成18年 3月20日 構成市町村の合併
 旧富浦町、旧富山町、旧三芳村、
 旧白浜町、旧千倉町、旧丸山町、
 旧和田町の合併により
 南房総市となる
給水団体の統合
 旧朝夷水道企業団が
 南房総市水道事業へ統合
平成19年 5月22日 大多喜ダム建設事業への参画を中止
平成23年 3月 4日 千葉県が大多喜ダム建設の中止を決定
平成23年 3月31日 創設事業完了
平成24年 3月19日 水道用水供給事業認可の変更
 大多喜ダム中止に伴い取水地点等を変更
 1日最大給水量 55,060m3→42,330m3
     4月 1日 給水料金改定(第4次)
平成26年 4月 1日 給水料金改定(第5次)
平成28年 3月18日 水管橋耐震化事業完了
平成28年 3月31日 平成27年度決算にて累積欠損金を解消
平成29年 4月30日 非常用自家発電設備完成